うつの人への接し方は、とても気を遣うものですよね。でも実は、アレコレ世話をしすぎたり、激励しすぎるのも良くないのです。
うつの本人からしてみれば、「自分が迷惑をかけて相手に気を遣わせてしまっている・・」「人に勇気づけられるなんて、なんて自分は情けないんだ・・」と、さらにマイナスにとらえてしまうのです。
良かれと思って言ったことや誘った行為が、じつは鬱病患者さんをさらに苦しめてしまうことが多いのです。
うつの人への良い接し方・悪い接し方をそれぞれしっかり理解して頭に入れて、本人をサポートしてあげてください。
また、支援者であるあなたも気を遣い過ぎて、うつになってしまったら何もなりません。お互い負担がなく、良い距離感で過ごせる接し方がありますので、しっかり学んでください(^_^)
【うつの人への悪い接し方】
うつの人へは、以下のよう接し方をしてはいけません。患者さんは余計に苦しくなったり自信を失ってしまいます。あなたの感情を満たすためではなく、患者さんが安心して休養できる雰囲気を作ってあげないといけないのです。
もちろん、本人の苦しみをゆっくり聞いてあげて、共感してあげることが大切なのですが、「なぜ?何で元気ないの?それでどうしたの?」などとしつこく聞いてはいけません。
・勝手に予定を組んで遊びや旅行に誘う
うつの患者さんには、静養が何より必要なのです。新しいことをすることがとても困難でツライのです。
普段楽しいことも、うつの時は楽しく感じられないばかりか「自分だけ楽しく感じられない・・」と、さらに落ち込みます。
元気付けてあげようと思う行為が、本人をよけいに苦しめてしまい治療が遅れます。
・朝たたき起こす
うつの人は疲れ切っています。夜も眠れないのです。うつの患者さんには休養が必要ですし、そういう接し方では信用も無くします。気持ち良く起きれるように、窓やカーテンをそっと開けて朝日をお部屋に入れてあげてください。
・過剰に心配したり世話を焼く
うつの患者さんは「自分のせいで迷惑をかけている」と感じ、さらに自己嫌悪におちいります。もちろん本人ができない時期は手伝ってあげて、でも当たり前のように自然にこなしてあげて、気を使わせないようにしてください。
・一人ぼっちで放っておく
うつになると人と会ったり接するのを避けるようになります。でも「話したくないようだから放っておこう」と考えないで、いつも通りに接してあげてください。ただし、周囲のテンションについていけないので、無理に遊びに誘ったりしないで静かに接してあげてください。
・アドバイスや助言
うつの人に対して、あなたが年上だとどうしても説教じみた助言やアドバイスをしたくなるものです。
でも、人それぞれ感じ方は違うものですし、時代や環境も違います。そして「〇〇すれば良い」と言われなくても本人も分かっているわけです。
分かっているけど、意欲がわかず体が動かないので苦しんでいるのです。
・完治をせかす
「とにかく一刻も早く良くなってね」という言い方は、うつの人からしてみれば「お前のせいでこっちまで元気が無くなるよ・いいかげん早く治ってくれよ」と言われているようなものです。本人も周囲に迷惑をかけていることは分かっているので、余計にあせったり自己嫌悪になってしまいます。せかしてはいけません。
・なまけ者あつかいする
「本当に病気なの?」というような言葉は絶対に言ってはいけません。本人も好きでそうなっているわけではなく、自分でもどうしようもなく苦しんでいるわけです。そういう言動がショックで激しく落ち込み、自ら命を絶ってしまうケースがあります。
・家族同士がいがみ合う
例えば、うつの本人が子供の場合などは、両親が責任を押し付け合ってケンカしてしまうことがあります。そのやり取りの騒ぎも神経を刺激してしまうのと、「自分のせいで・・」と自己嫌悪が強くなってしまいます。また、頼れる家族が居ないと感じて不安がふくらみます。
・激励する
静かに声掛けしてあげることは大切なのですが、みんなで「応援してるぞ!頑張れ!」「気分を変えれば上手くいくよ!」「君なら出来るさ!」というような強い激励は、かえって本人の荷を重くしてしまいます。頑張ろうとしても、その通りにできないので、いま本人は苦しんでいるのです。
【うつの人への良い接し方】
では、うつの人にはどう接すれば良いのか・・解説していきます。
・負担に思ったり恥ずかしいと思わない
あなたが、うつ病患者さんの家族・友達・同僚・上司であることを、負担に思ったり恥ずかしいと感じてはいけません。
そういう思いは必ず態度や言動に出てしまい、うつの人をより苦しめてしまいます。「誰でもなりえる病気」という認識をしっかり持ってください。
・うつという病気について正しく理解する
まずはこの鬱病(そううつ病も含む)について正しく知ることです。知っておけば接し方も正しくできますし、本人が早く治れば周囲の人も安心できて楽になれます。
・うつの人の話を聞き続ける
あなたの意見を言い返したり議論はしてはいけません。とにかく、ひたすら話を聞いてあげることだけしてください。あなたが思っていたよりも重症だったり軽症だったり・・と、病状を把握することもできますし、うつの人も話して気が楽になる場合が多いです。そして、話を聞いてくれる人がそばに居ることが分かっただけでも、本人は安心できるのです。
・重大な決断をさせない
うつの人は疲れ果てて絶望し、突拍子もない行動や決断をすることがあります。いきなり辞表を出したり、多額の借金・投資などをしてしまうことがあります。判断力が無くなっている状態ですので、重大な決断をさせてはいけません。
・適度に気にかける
あいさつ程度に「具合どう?」くらいに気にかけてあげると良いです。でもそれ以上追及したり、「頑張れ!」「もっと〇〇しよう」などの激励や指示はしないようにしてください。答えが返ってきても「うーん」という感じにして、大げさに反応して見せないことです。
・心配し過ぎず普段通り接する
周囲が気を遣うと、うつの本人もそれを感じるので、余計に「気を遣わせて申し訳ない」という自己嫌悪感がわきます。
具合をちょっと気にかけることはしてあげて、それ以外は普段通りに接してあげてください。その方が本人の気が楽になります。
・静かに見守る
「何かあったらいつでも言ってね」とさりげなく声をかけてあげ、あとは静かに見守ってください。
・通院や服薬のチェック
「ちゃんと薬飲んでる?」などの言い方はしないで、さりげなく診断書や領収書で通院をチェックし、薬の減り具合も見てください。本人に気付かれないように、さりげなくです。おせっかいや、しつこく聞いて確認するのは止めましょう。
・必ず治ると伝え続ける
「うつは治る病気だからじっくり治していこう・・」と、さりげなく伝え続けるように接してください。激励調にしないで、当たり前であるかのように静かに言いましょう。
では以上が、うつの人への接し方の解説でした。
うつの治療は休養とお薬が基本ですが、周囲の人の接し方しだいで良くも悪くもなり、かなり影響が大きいものです。
ただし、あまり気遣いし過ぎないで自然体で接してあげるようにしてくださいね。
参考になるサイト:生きる目的バイブル