腰痛でギックリ腰になり、急に動けなくなった経験がある人も多いと思いますが、約三割の人が繰り返しギックリ腰が発生するというデータがあり、注意が必要です。
ギックリ腰は急性腰痛の総称ですが、実は明確な定義はありません。足に神経痛のような痛みやしびれがなく、つぎの特徴を有しています。
1.痛みの出現したときがはっきりとわかる(荷物を持ち上げた瞬間「ギクッ」ときたなど)。
2.動こうとしても痛みのために動けない。動きはじめがとくに痛く、動き出すと少し楽。
3.寝返りをうつことができない。
4.咳やクシャミをすると痛みが走る。その痛みが怖くて咳やクシャミができない。
5.腰に力が入らない感じがして、痛みとともに腰がぬけそうな感じがする。
ギックリ腰の原因には、脊椎の関節、筋肉、椎間板の異常がありますが、画像に異常があることは少なく、本当の原因ははっきりしない場合がほとんどです。
しかし、急性期に痛みが強くても、画像や炎症所見に異常がなければ、多くが自然に治癒してゆくこととなります。そのときの痛みを軽減するために、消炎鎮痛剤、筋弛緩薬、コルセットなどの治療が行われますが、ギックリ腰ですぐに手術などが必要となることは少ないです。
カイロプラクティックによるマニピュレーションについては、正しい診断、手技で行われれば有効なことも多いですが、経験のみを頼りとして無資格で行われていることもあり、注意が必要です。
いずれにしても急性発症したギックリ腰による腰痛の約90%は自然に治り、痛みは消失します。
多くの人は痛みが去ってしまうと、腰痛の予防など考えずに生活をはじめるため、近年その再発率の高さが知られるようになってきました。そのことが、「ギックリ腰はクセになる」などと表現されているのだと思います。
欧米では、人口の約5%が慢性の腰痛に悩まされていますが、日本ではさらに多く、9.6%が腰痛を感じているそうです。