口臭の最大の原因は歯周病です。もちろん、歯磨きしない人は歯垢が臭いを発するので口臭もクサイですが、「しっかり歯磨きしているし、舌苔もキレイにしているのに息が臭い・・」という人は、歯周病が最大の原因です。
歯周病の他にも、胃や腸・肝臓・腎臓などの内臓であったり、肺や気管が原因で口臭がクサイ場合もありますが、このページでは歯周病による口臭にしぼってお話いたします。(口臭の原因)
右の写真Aは歯周病にかかっていた歯を抜いたものです。上の奥から二番目の歯で、一番大きな歯になります。
大きい歯は、実は写真のように根っこが三つ又になっています。そして、写真を見ると三つ又の中心付近に黒っぽい塊が見えると思いますが、これが歯石なんです。
もともとは、歯と歯茎の歯周ポケットのみにあった歯石が、段々侵食していって根っこの方まで汚染してしまったのです。
写真では、歯と歯茎の付近はキレイになっていますよね。そこは歯医者さんで歯石取りをしてもらったからです。
でも、歯の根っこ付近などの深い部分は、歯石取りの器具が届かないですし、大きな歯の三つ又の中心部分は、絶対に届きません。
写真Bは、同じく歯周病にかかって黒い歯石がこびり付いている物ですが、これは前歯の隣の歯です。根っこは一本ですね。
その歯も歯石取りをしてもらったのですが、奥の深いところは取り切れず残ってしまっているのが分かりますね。
この歯石が口臭の原因になるんです。
と言っても、歯石そのものがクサイ口臭を発するわけではありません。
この歯石に住み着いた歯周病菌と、血液の白血球が戦って膿(うみ)が出るからです。この膿がクサイのです。
もし、あなたがちょっと歯茎が熱っぽくて、にぶい痛みがあるようでしたら、その歯茎を指で押してみてください。よーく見ると、白っぽいような黄色っぽいような膿が見えるはずです。
それを触った指の臭いを嗅ぐと、ツンとするようなクサイ臭いがします。これがまさしく口臭の原因になっているのです。
普段は、歯と歯茎の間から少しずつ染み出しています。それが唾液に溶かされて口の中に広がっているので、口臭になるのです。
ですので、もし歯医者さんで歯石取りを限界までしてもらって、それでも歯茎が炎症を起こして痛くなったり口臭があるようなら、抜いてもらってください。
歯医者さんにとっては、実は歯周病の歯は、定期的にお金が儲けられる「金のなる木」なので抜きたがらないのですが、お願いして抜いてもらってください。
そうしなければいけない理由がもう一つあります。
歯周病菌の病巣が残っているということは、悪玉菌が血液やリンパの流れに乗って体中を駆け巡ることになりますが、いろんな臓器に悪さをしてダメージを与えてしまうからです。
そして、歯周菌が毒素を出すだけでなく、それをやっつけるための防衛反応が同時に悪さもしてしまうのです。免疫は、バイ菌をやっつけるために酵素を出すのですが、これが強力なので自分の骨まで溶かしてしまうのです。
それによって結局は、その歯は抜けることになりますし、隣りの歯にまで影響してしまうからなのです。だから、私は歯石が残っていて取り切れないと分かった時点で、歯医者さんに抜いてもらうようにお願いしたのです。
抜いた部分は、「ブリッジ」という義歯が入ります。抜いた歯の、隣り左右の歯に銀をかぶせて、その銀と一体構造になった義歯のことをブリッジと言います。3本の歯がガッチリくっ付いて「橋」の柱のようになるのです。
もし抜くのをためらってしまうと、隣りの歯を支える骨(歯槽骨)までドンドン溶かしてしまって、結局はブリッジすらできなくなってしまいます。
そうなったら入れ歯になってしまいますし、口臭は治りません。ひどくなる一方です。
歯周病は、口臭だけでなく色んな病気や、歯痛・歯抜けをまねいてしまいます。最低でも一年に一回は、歯医者さんでメンテナンスをしてもらいましょう。