お肌の老化でいちばん怖いのはずばり「紫外線」です。 肌の老化の65%は紫外線がもたらすもので、「光老化」と表現されます。
日光を浴びると、肌を守ろうとする機能によってメラニン色素が作られますが、その後のターンオーバー(新陳代謝)によって消えていきます。
でも、何度も続けて紫外線を浴びてしまうと、メラノサイトの数が増えてしまい、さらに表皮が厚くなるなどの変化も起きて、シミになってしまうのです。
それと、真皮にまで届いた紫外線のせいで、お肌のハリを保つためのコラーゲンがダメージを受けて、弾力が失われてしまうのです。その結果、お肌にたるみやシワが刻まれてしまうのです。
■日々蓄積される紫外線のダメージ
紫外線のダメージというのは、日々じわじわと積み重なって肌に貯金のように溜まっていきます。
そして、ある一定のレベルに達したときに、シミ・たるみなどの肌トラブルとして表面化し、一気に際立つようになります。知らず知らずこうしたリスクにさらされないように、紫外線に関して認識しておくことが重要です。
太陽光線をエネルギー量で分けると、約50%は紫外線になります。
現光線はまぶしく、赤外線は暖かさや暑さを感じます。反対に紫外線は熱さもまぶしさも感じないので、紫外線を浴びていることが分からなくなってしまいます。
UVは「ULTRAVTIOLET」の略ですが、紫外線という意味です。紫外線の中にもA波(UV-A)とB波(UV-B)という種類があります。
●A波(UVIA)のエネルギーは弱いですが、じわりじわりとお肌の真皮にまで届きます。雲を通り抜けるので、曇りの日でも照射量はあまり減らないので注意が必要です。
●B波(UVEB)のエネルギーは強く、肌を赤くヒリヒリさせるサンバーンという症状を引き起こします。雲やガラスなどである程度さえぎることができます。
A波、B波ともにお肌の老化を進めてしまうので、紫外線をしっかり遮断して、お肌を守ることが重要になります。
■紫外線は細胞まで傷つけるのでメラニン対策だけでは不充分
「紫外線を浴びるとメラニンが増え、シミの原因になる」ということは、あなたもご存じのとおりです。「シミを消したい」と考え、美白化粧品でスキンケアしているかもしれません。
紫外線に当たると、肌の中でメラニン色素が産生されます。一般的に美白化粧品に含まれている美白成分は、このメラニン色素の産生を抑える作用があるのです。
でも知っていただきたいのは、紫外線によってメラニンが増えることだけが、シミの原因ではないのです。じつは、紫外線によって細胞のDNAが傷ついて、そのダメージが蓄積されて肌の性質そのものが変性してしまうことが、シミの原因になるのです。
ですので、残念ですがメラニンを減らすためのスキンケアのみではシミは薄くならないのです。紫外線によって変質してしまった肌の構造を、完璧に復元することはできないからです。
「日焼けしてメラニンが増えたってあとで美白化粧品で減らせばいいわ」と思っている人がいるようですが、そういうものではありません。日々しっかりした紫外線対策で、お肌をしっかりガードする必要があるのです。
■紫外線は骨を維持するために多少は浴びたほうが良いか?
骨粗しょう症などを防ぐために、紫外線を少しは浴びたほうが良いのでは?・・とよく言われます。確かに紫外線は皮膚の中でビタミンDを産生し、骨に対してカルシウムの沈着を促す作用があります。
でも、それに必要な紫外線はほんの少しで十分です。例えば両手の平くらいの面積で、1日20分くらい当てれば十分と言われます。無理に浴びなくても、日焼け止め化粧品を塗って紫外線対策をしたとしても、完全に当たらないように防ぐことは不可能で、多少は紫外線を浴びてしまうものだからです。
骨密度を維持するためには、その程度の紫外線で十分なのです。
そして骨と言えば、更年期になると心配なのが骨粗粗症ですよね。骨粗粗症の原因は、日光やカルシウムの不足というよりも、じつは女性ホルモン(エストロゲン)の減少と運動不足によるものが主原因なのです。
ですので、紫外線対策をしっかり行って、よく運動することが、お肌の若返りに良いと言えるわけです。
■チリも積もれば山となる生活紫外線貯金
さて、紫外線を冬でも曇りの日でも毎日浴びていることは、今や常識です。でも、A波は熱くもまぶしくもないので、浴びてしまっているという実感がないのです。
そのために、ついつい油断してしまいがちです。一年を通して、毎日少しずつ浴びている紫外線のことを生活紫外線と呼んでいます。この蓄積がシミの大きな原因になっているのです。
例えば、外で洗濯物を干す時間、ゴミを出しに行く時間、近所へ買いものに行く道中などなど・・。
このように少しずつ浴びる紫外線でもバカにしてはいけないのです。
データによれば、毎日2時間程度外出する主婦が晴天の1週間に浴びる生活紫外線は、じつは真夏に海水浴で1時間に浴びる量と同じくらいなのです。「わずかな外出」でも紫外線対策を忘れずにしなければいけません・・・