多汗症の治療方法には様々なものがありますが、自分で簡単にできるものから高額な手術までご紹介していきましょう。

多汗症の手術ともなれば、当然費用も高額でリスクや副作用もあります。多汗症の薬も同じです。

まずは自分でできることからしっかりやり切ってみて、改善できればそれに越したことはありません。

多汗症の原因を治療した人の写真

では、多汗症治療の種類をざっとご紹介してから詳細の解説に入っていきます。

1、心理療法
2、自律神経失調症治療
3、イオントフォレーシス電流治療
4、ボトックス注射
5、交感神経節ブロック注射
6、交感神経切除手術
7、飲み薬

1、心理療法による多汗症治療

多汗症のレベルは色々な段階がありますが、「緊張していない時は汗をかかない」という人もいます。

緊張で自律神経やホルモンバランスが崩れ、汗が出過ぎてしまうことがありますが、過度な緊張をしないように心理療法でコントロールしようというものです。

ほんの少しの、もともとは必要な汗なのに、それを気にして緊張し、さらに汗がドッと出る・・という悪循環になってしまうからです。

軽度の多汗症や精神性のストレス等による自律神経失調症型の多汗症は、これで治ることもあります。

2、自律神経失調症からくる多汗症の治療

自律神経の仕事は、「今すぐ汗をかかなければ!」と判断して、身体に「汗をかけ!」と指令を出すことです。しかし自律神経のバランスが崩れていて正しい判断や指令ができなければ、暴走して多汗症や無汗症になってしまいます。

自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」の二つで、シーソーのようにバランスをとりながら調整されていますが、ストレス・栄養バランスの不良・睡眠不足・運動不足などで、二つのバランスが崩れて正常な働きができなくなり、多汗症を起こしている人がいます。

ストレスをためないように、無理せず休みや気晴らしを持つこと、最低でも6時間以上しっかり寝ること、1時間のウォーキングで有酸素運動をしましょう。

そして栄養バランスです。特に自律神経を整えてくれるのが食物繊維です。大豆製品・海藻類・きのこ類・根菜類・生の緑黄色野菜をしっかり摂ってください。ビタミン・カルシウムもそれで摂れます。

上記を整えた上で、さらにサプリメントや漢方も試しても良いでしょう。

3、イオントフォレーシス電流による多汗症治療

多汗症の部位を、水が入った専用の容器に入れ、微弱電流を流します。電流の作用によって汗の生成機能を止めることができる・・・というものです。

1回20分、週に3回ほどの治療で4週間後に効果が出ます。しかし、その数週間後には効果が無くなるので、また同じ治療を繰り返さないといけません。

軽い多汗症の治療には一定の効果がありますが、頻繁に通院が必要で、副作用が起こる場合もあります。湿疹・かぶれ・水疱ができる恐れがあります。

一時期、アメリカから家庭用のイオントフォレーシス機器「ドライオニック」が輸入できたのですが、現在その代理店の日本語ページは閉鎖されているようです。やはり家庭用医療機器の信用性には問題がありそうです。

4、ボトックス注射による多汗症治療

ボツリヌス菌毒素の作用によって、発汗神経を麻痺させ機能させないようにする多汗症治療です。手術は必要ないのですが、それでも10万円ほどの費用がかかります。

多汗症の部位と、その周辺に数十か所も注射を打たないといけませんし、その効果は4か月くらいで消えてしまいます。

それと、例えば手の平の多汗症だった場合は、筋力低下によって握力が落ちてしまいます。これですと、お仕事などに支障が出ますので難しい面があります。

5、交感神経節ブロック注射による多汗症治療

汗が出るのは、脳から身体中の汗腺に「汗を作って出せ!」という指令が出たからです。つまり、その途中の神経回路を止めてしまえば良い・・という発想の多汗症治療です。

例えば、手の平の汗をコントロールする交感神経は、肺と背骨の間を通っています。また、足の裏の汗をコントロールする交換神経は、腰の骨の横を通っています。

その神経に直接注射針を刺して、アルコール系の薬剤を注入することによって、神経信号の伝達をブロックすることができるんです。これで多汗症の汗が止まります。

デメリットは、費用が高額な割に効果は75%ほどで、効果の持続は1年くらいになります。

そして、問題は「代償性発汗」といって、必要な汗を止めた分ほかの場所からの汗が増えてしまう・・というものです。

さらに、男性の方でもし足裏の多汗症治療のための腰椎神経ブロックをした場合は、「射精障害」が起こる場合があるので、最悪5年ほど不妊症になる可能性があります。

6、交感神経切除手術による多汗症治療

先ほどのブロック注射は、あくまで一時的なブロックになります。そこで、汗をコントロールする交感神経そのものを切ってカットしてしまおう・・というのが、交感神経切除手術です。

再生しないようにある程度の長さの神経節を取ってしまうので、効果はほぼ100%です。

しかし、「完璧に止まる」ということは、「代償性発汗」も多くなるということです。もちろん、「手の平が汗でビショビショだと仕事もできない」という深刻な方には、たとえ頭や背中の汗が増えても「良かった」ということになるでしょう。

そして、副作用が実はまだ他にあります。

交感神経を部分的に取ってしまうわけですから、とうぜん自律神経のバランスが崩れることになり、予想できない副作用が起こることがあります。

例えば、普通なら熱い物や辛い物を食べると汗が出ますが、「甘い物・しょっぱい物の刺激でも汗が出る」なんてことが起こったり、免疫力が落ちて傷口の炎症が強くなる・・というような事が起こる場合があります。いわゆる「自律神経失調症」が起こってしまいます。

もともとは、多汗症の原因に自律神経失調症の傾向があるのに、さらに失調して別の問題が起こる・・・こうなっては困りますよね。

そして、切除手術ですので全身麻酔もしますし、位置的に肺がジャマになるので一時的に肺をしぼませる処置をとります。

手術が終わって、この後に肺を膨らませないといけないのですが、「気胸」の状態に陥ってしまい肺が膨らまないことがあります。あるいは出血が多い場合もそうですが、そうなると開胸手術が追加で必要になることがあります。

7、飲み薬による多汗症治療

飲み薬による多汗症治療もあります。精神安定薬や自律神経を整えるような間接的な効果の薬もあれば、発汗作用をブロックする直接的な飲み薬もあります。

精神性発汗の人は、大脳皮質で行われるマイナス思考がとても強いです。精神安定薬・自律神経整調薬・中枢性睡眠薬などが処方されます。

ただし、これらは眠気やふらつきなどの副作用があるので、お仕事も普通にできなくなってしまいますから、これでは多汗症が改善された意味もなくなってしまいます。

代わりに「骨牡れい湯」系の漢方薬を使う場合がありますが、今度は効き目が落ちてしまいます。

発汗の神経回路を直接止める薬もあります。脳から汗腺に、「汗をかけ」という指令を伝えるのがアセチルコリンという化学物質なのですが、この働きを止めてしまう抗コリン薬があります。

しかし、これも便秘や胃腸障害などの副作用がありますので、多汗症改善と引き換えにするリスクとしてはちょっと高いですよね。

 

では、多汗症治療の解説は以上ですが、まずはやっぱり自分でできることからしっかりやり切ってみる、それでもダメならお医者さんと相談しながら・・という流れでやっていきましょう。

 >> 多汗症体質を根本からキッチリ治してしまう方法!




 

多汗症の治療方法」の解説ページです。



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