寝違えとは、筋や靭帯がコリ固まったり負荷がかかって、組織が損傷して痛みを感じるものです。炎症になったり、つったりするような症状もあります。

寝違えにもストレスが及ぼす悪影響が指摘され続けていて、度を越すと病気を引き起こすことがあるということは、もはや常識になっています。

しかし、寝違えもストレスが原因だというと、びっくりされることがよくあります。

「だって、寝ているときはリラックスしている状態でしょう」
「眠りが深いたちだから、寝ているときにストレスなんて感じるはずがない」

などとお思いかもしれませんが、じつは私たちは寝ている間にも無意識に緊張したり、ストレスを感じたりしているものです。日頃感じている切迫感や焦燥感は寝ているときでも私たちを取り巻き、体を硬直させます。

知らず知らずギュッと縮こまった体勢になっていますから、ちょっとした動きにも体がついて行かずに寝違えてしまうのです。

また、仕事がとてもきつい状態のとき、期限が迫っているのにやってもやっても仕事が終わらないなどという夢を見たりしませんか? また、顔も見たくないと思うほどキライな人なのに、その人が夢に登場してきたおかげで、目がさめても何だか寝た気がしないということはありませんか?

このように、あまり歓迎できない夢を見たときもやはりストレスを感じていますから、寝違えを起こしやすいものです。

それから、「これが飲まずにいられるか。ストレス解消!」とばかりについ飲み過ぎたとき。これも寝違えをしやすい状況です。このようなときは自分で自分の体の動きをコントロールすることができません。つまり自己防衛ができない状態にあり、限界以上に首をクイッとひねってしまっても、まったく痛みを感じないこともあります。それで起きたときに「アイタタタ……」となるわけです。

このように、過度のストレスがある人、よく深酒する人は寝違えやすい人であるといえますが、逆に寝違えにくい人というのもいます。それは日頃からよく体を動かしていたり、何らかのスポーツが趣味で運動を習慣にしている人。無意識のうちにかかった衝撃にも体が素早く反応し、寝違えを防ぎます。運動神経のよさは寝違えの回数と反比例するとも言えるでしょう。

他にも、体が軟らかい人も、とっさの衝撃をうまく逃がすことができるので寝違えしにくいです。反対に言えば、運動不足の人や体が固い人は寝違えを起こしやすいと言えます。

■寝違えの治し方

「寝違えくらいどうってことはない」と思ってみても、その痛みは、思いのほかつらいものですよね。翌日、知らず知らずのうちに治ってしまうくらいだったらいいのですが、なかなか良くならず、痛みが気になって何も手につかない、などという場合は困ってしまいますね。

何とか早く寝違えを治したいと思ったら、どうすればいいのでしょうか。

方法は2つあります。

痛くても我慢してクイッと動かす逆療法的なやり方と、ゆっくり痛みを取るやりかたです。どちらが良いかと言えば、前者は知識のない人が行うと危険な面があるので、後者をおすすめしたいと思います。

では、具体的に何をするか。首は動かし過ぎてはいけない部分なのですが、かといって、あまりにも動かさないでい過ぎるのもよくありません。事故後など、重傷を負って安静が必要なときは別ですが、無理のない範囲で少しずつ動かすようにしたほうが寝違えの予後は良いです。

動かさないと余計に凝り固まって柔軟性がなくなったり、筋肉が落ちて頭の重みを支えきれなくなり、余計に首に負担がかかるからです。

それでも痛みが取れないときは薬を使ってみます。とくに寝違えのための薬があるわけではなく、頭痛や歯痛のときに飲むような市販の痛み止めでかまいません。また、肩こり用の湿布薬(温湿布、冷湿布ともOK)や塗り薬なども良いです。

普通はこの程度の処置で治るのですが、痛みが仕事に差し支えるとか、不快なので早く治したい、薬を常用しないといられないという場合は整形外科や整体院を受診してください。

「寝違えぐらいで病院に行くなんて……」などと躊躇されるかたもいるようですが、実際に寝違えで来院する患者さんはたくさんいます。市販薬は体への作用を弱くしてあるので効き目が現れるのもゆっくりですが、病院の薬は即効性があるので早く効きます。

ただ、ちょっと注意が必要な寝違えもあります。数日で痛みが引いてくるものなら問題ないのですが、昨日より今日のほうが、さらにその次の日のほうが痛いというように、日に日に痛みやつらさが増していったり、手足のしびれ感などの新たな症状が出てきた場合は、必ず受診しましょう。

本人は単なる寝違えだと思っていても、じつはその陰に首の病気(頚椎ヘルニアなど)が潜んでいることもあるのです。

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寝違えの原因メカニズムと寝違えの治し方」の解説ページです。