首はどんな役割を果たしている部分だと思いますか?と聞かれたら、みなさんはどう答えるでしょうか。

「頭と胴体をつなぐ部分で、食道や気管が入っていて・・・」
「頚動脈もあるぞ。要はいろんなものが入っている入れ物だろう」
「首がかかっているとか首が回らないとか、日本語では大事なことの意味で首という言葉を使うから、大切なところだと思うけど?」

そうです。首は、体の中で一、二を争うほどの大事な部分。しかし、その大切さを本当にわかっている人はあまりいらっしゃいません。

首の内部には非常にたくさんの器官があります。食道、気管、甲状腺があり、脊髄には気の遠くなるような数の神経が走っています。つまり脳の指令を全身に送る伝達網が集結しているということです。

そのうちの1本でも傷ついたら体は麻痺してしまいます。さらに、心臓から脳に血液を送る頚動脈などなど・・・。
このようにざっと挙げてみるだけでも首がいかに大切な部位なのかが見えてきますよね。

まさに人間が生きていくために欠かせない重要な器官が集中しているといえます。つまり、首を傷めるということは重症の場合は即座に死を意味しますし、それより軽くすんだとしても体の麻痺などにつながりかねません

それはすなわち、自由に動き回る生活が一生できなくなる危険をも、高い確率ではらんでいるということなのです。

「そんな大ごとになる可能性は低いんじゃないか」という人もいるかもしれません。しかし、このような重篤な状況にならないとしても、私たちが普段いかに首を動かして生活をしているかを考えてみてください。

たとえば食事のとき。食卓に向かって、さあ食べようとしているとき、そして実際食べものを口に運ぶときは必ず首を下に曲げているはずです。試しにまったく首を動かさないようにして食べてみてください。その不便さがわかると思います。

もう一つ例を挙げてみましょう。普通に道を歩いているときに、首を意識している人はあまりいないかもしれません。しかし足元に気をつけたり信号を見たりという何気ない動作にも首の動きは不可欠です。

首を傷めたら、このような日常的な動きにさえ支障が出るわけですから、普通に仕事や家事をこなすことはおろか、スポーツなどの趣味をエンジョイすることはいうまでもなく不可能になってしまうわけです。

さらに、首はいったん悪くすると、きちんと治療をして生活習慣にも配慮しない限り少しずつ悪くなっていくというやっかいな部分です。そしてちょっとつまずいて転んだ、というささいなきっかけで一気に悪くなり、手足が動かなくなるなどの事態にまで陥ってしまいかねません。

■肩こり・頭痛は首の故障が原因だった・・

胃を悪くすれば胃が痛くなり、足をケガすれば足が痛みます。では、首を悪くすると首が痛むのでしょうか。

答えはNO!

そういうときもありますが、じつは首そのものの痛みよりも、別の部位の症状となって現れることが多いのです。首を通っている神経は、体の各部位と密接な関わりを持っているからです。

症状の代表的なものは肩こりや頭痛です。

これらの症状が起きたとき首と結びつけて考える人は多くないでしょうが、ほとんどの肩こり、頭痛は首の故障が原因だといえます。頭痛は同時にめまいや耳鳴りなどを伴うときもあります。

いつもいつも肩がこって痛い、頭痛持ちで仕事が手につかないとこぼす人がよくいますが、このような人は一度整形外科を受診することをおすすめします。特に首から起こるほかの症状には手足のしびれがあります。

この「しびれ」で注意してほしいのは、正座の後のようなしびれ感だけを「しびれ」というのではないということです。肌に触ったときにどうも感覚が鈍い、といったことがあれば、それは「しびれ」です。

後に重篤な症状に移行する場合もあるので、早めの受診を心がけてください。

このように、首の故障は思わぬかたちで現れるものです。しかしそれを知っている人は少ないので、周りにこのような症状で悩んでいる人がいたら、教えてあげてほしいと思います。

できるだけ早く治療を始め、同時に、首に負担をかけないよう生活を改善することが重症化を防ぎ、その後の人生を健康に送るための何よりの良薬なのです。

 >> 肩こり首痛体質を自分で根本から治してしまうストレッチ法




 

肩こり・頭痛は首の故障が原因だった」の解説ページです。